耐震について知ろう

2016/05/17

建物年代と構造形式でわかる!耐震性能まるわかり

建物年代を確認しよう!

耐震基準ってそもそも何?」の記事でも紹介しましたが、日本では建築物に求める耐震性能は、大きな地震のたびにその教訓を元に、見直されてきました。1948年の福井地震の教訓から1950年に建築基準法が生まれましたが、1968年の十勝沖地震では建物にとって深刻なダメージとなり、瞬時に崩壊しかねない「せん断破壊」が柱に生じたため、この教訓から1971年に柱を粘り強くするための耐震設計法改正が行われました。さらに1978年の宮城県沖地震でピロティやバランスの悪い建物の崩壊などが目立ったため、1981年に中地震では建物の継続使用が可能に、大地震では建物を倒壊させないように法改正されました。このように法改正が繰り返されているので、建物年代によって、反映されている耐震性能がわかるのです。

過去の地震を教訓に、耐震性能がアップするように法改正が繰り返されてきたのじゃ。建物年代が古いマンションは、耐震性能を疑ってみよう!

構造形式を確認しよう!

マンションの構造形式は大きく分けてふたつあります。壁式構造は壁面と床板で構造を支え、柱がありません。壁は耐震性能向上に大きく貢献するので、壁式構造は地震に強い構造です。鉄筋コンクリート(RC)造の5階建て以下の中低層マンションに多く採用されています。
ラーメン構造は柱と梁で構造を支えます。設計の自由度が高く、多くの低中層〜高層マンションで採用されていますが、過去の地震では被害事例も多くなっています。そのため、耐震設計法で改善されてきました。
また、マンションには鉄筋コンクリート(RC)造と鉄筋鉄骨コンクリート(SRC)造があり、SRC造は高層マンションに多く採用されています。鉄骨は粘り強い部材ですが、接合部の破壊が多く見受けられたため、新耐震基準では接合部の強度が要求されるようになっています。

■壁式構造

耐震性を高める「壁量」が多く、地震に強い。

■ラーメン構造

耐震性を高める「壁量」が少なく、外からの力に対して変形しやすい。

建物年代・構造別の被害を想定

外からの力に対して変形しやすいラーメン構造は、耐震設計法改正のたびに設計が見直されてきたので、建物年代によって想定される被害が異なります。

  旧耐震基準 イメージ
〜1971年4月末 1971年5月〜1981年5月末 1981年6月〜
鉄筋コンクリート(RC)造・壁式構造 壁量が多く、旧耐震基準の建築物でも一般的に耐震性は高い。
鉄筋コンクリート(RC)造・ラーメン構造 ・柱の主筋を束ねる帯筋の不足による、せん断破壊、座屈破壊(大きなたわみ)
・帯筋端部の定着不足(フックが開ききっている)ことによる柱の破壊
・配筋不足による壁の破壊
・たれ壁と腰壁が上下についた短柱のせん断破壊
 
・高層建築物では、中間の特定階が層破壊(圧壊)するおそれがある
(その他の被害は大きくない場合が多い)
 
鉄筋鉄骨コンクリート(SRC)造・ラーメン構造 ・RC造の想定被害すべて
・格子型SRC部材の破壊
・柱内の鉄骨継手の破断による連層耐力壁の付帯柱の破壊
・壁筋のSRC柱への定着不足による耐力壁の破壊
帯筋間隔を密にすることで、柱の粘り強さをアップ

<出典:国土交通省「マンション耐震化マニュアル」に加筆>

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