耐震について知ろう

2016/05/10

住みながらできる?見た目はどうなの?耐震補強工法のいま。

耐震改修の分類

耐震診断によって耐震性能が十分でないと判断された場合には、耐震改修工事などによる安心・安全の確保が課題となります。耐震改修工法は大きく分けると、「耐震補強」「制震補強工法」「免震補強工法」の3つに分けられます。それぞれに特徴やメリットがありますが、最も多く採用されているのは建物の強度を高め、粘り強くすることで耐震性能を高める「耐震補強」です。

■耐震改修の分類

耐震補強 制震補強 免震補強
工法のねらい 建物の強度を高め、粘り強くする。 建物に制振装置を取り付け、エネルギーを吸収させて揺れを抑制する。 建物の基礎下などに免震装置を挿入することで地震力を遮断する。
特徴 多くの工法があり、建物の形状やスペースに合わせた工法を選択できる。 耐震補強では必要補強量が多くなりすぎる時や、中規模以上の建物に適している。壁の多い建物や小規模の建物には適さない。 外見に影響が少なく、建物上階の揺れも低減される。地震時に大きく変形するため隣接建物との距離に余裕が必要。
工期 短い 長い 長い
コスト 小さい 大きい

耐震改修工事はコストに優れて、選択肢も多い「耐震補強」が採用されることがほとんどなのじゃ!

多様な工法がある耐震補強

最も一般的な「耐震補強」には、さまざまな工法があります。建物の形状や築年数、必要な強度、コストなどから工法を選ぶことになりますが、工期、居住性、外観なども含めると、選択肢はさまざまです。外付け工法の選択や工事方法の工夫により、居住しながら工事を行うこともできます。
信頼できる専門家・耐震改修のパートナーを見つけ、耐震性能の向上とコストの兼ね合いはもちろん、工事後の居住性や外観も含めて、しっかり相談して工法を選びましょう。

■主な耐震補強

耐震補強工法 特徴 イメージ
後打ち壁の増設 新たな壁を鉄筋コンクリートなどで増設。開口寸法に制限あり。
枠付き鉄骨ブレース補強 柱・梁に囲まれた中に鉄骨ブレースを増設。補強部材による重量増加を避けたい場合や、開口部が必要な場合に適する。
外付け鉄骨ブレース補強 建物の外側に鉄骨ブレースを増設。既設の壁やサッシュの解体が少なく済みます。
バットレスの増設 耐震壁などの構造躯体を建物の外部に増設。建物周囲や敷地に余裕がある場合に適している。
外付けフレーム補強 既存建物の柱・梁フレームの外側に新たに補強フレームを接合する。外観に影響が少ない。
柱巻きつけ補強 既存の柱に繊維シートや鋼板を巻きつける。マン ションなど、各住戸均等に対応する場合に適している。
耐震スリットの設置 既存建物の柱に取り付く腰壁やそで壁と柱の間にスリット(隙間)を設ける。他の工法と組み合わせることが一般的。

<参考:ビル・マンションの耐震化読本(東京都発行)>

耐震補強の技術は日進月歩。最新技術や事例をしっかり把握している専門家に相談して、自分のマンションにとってベストな選択を!

耐震について知ろう
ページの先頭へ