耐震について知ろう

2016/04/19

事例で分かる★耐震工事成功のポイント~小規模マンション~

第1回:マンション所有者合意形成のポイント

多くの区分所有者がいるマンションは、合意形成が難しく、耐震診断や耐震工事に至るまでには多くのハードルがあると言われています。どうすれば、所有者たちの意見をまとめて、診断や工事にこぎつけることができるのか?実際に耐震工事を実施したマンションの理事の方にインタビューをさせていただき、合意形成のポイントや耐震工法の選び方、工事後のメリットまで、体験談を幅広くお聞きしました。これから耐震工事を検討される際にはぜひ参考にしてください。

‐このマンションの耐震性に不安を感じ始めたのは、いつごろですか?

阪神大震災の時、ピロティがある建物の被害が大きかったと聞いて、このマンションはまさに1階の駐車場部分がピロティ形式なので、危ないのではないかと意識し始めました。ピロティの柱も細くて、不安に感じていたんですよね。また、震度2程度の小さな地震でも、ものすごく揺れを感じていたので、それも不安でした。

‐最初は建替えも検討されたそうですね。

費用はかかりますが、建物が崩壊して命にかかわるよりはいいだろうと、最初は建替えも検討しました。しかし、現在の法律では道路の幅が足りなくて、建替えは無理だとわかったんです。なんとか住み続けるためにはどうしたら良いのだろうかと考えていた時、管理会社から助言していただき、まずは耐震診断をすることにしました。

‐それはいつごろですか?

7〜8年前です。港区の助成金があることがわかり、住民にも「何とかしなくては」との意識があったので、耐震診断の合意はすんなりと取れました。決済をお任せしてくれる人も多いので、耐震診断は理事会のやる気次第でできると思います。

‐耐震診断をした結果は?

やはり耐震性が足りないということで、補強工事が必須でした。結果にショックを受けたということはなく「やっぱりそうか」と、耐震工事実施への背中を押されて動き始めたのですが、そこからが長かったです。

‐工事への動きが停滞した理由は?

最初は耐震診断をしてくれた設計事務所に耐震工事の設計をお願いしたのですが、こちらの希望とはかけ離れているプランだったので。そこから設計と施工をお願いする業者を探すのに時間がかかってしまって・・・

‐耐震工事は診断よりも数倍のお金がかかりますが、その資金は?

港区の助成金とこれまでの積立金と、一部不足分は住宅金融支援機構からの融資で調達しました。しかし、やはり積み立てたお金を耐震工事に使うことには反対もありましたね。いつ来るかわからない地震に備えるより、水回りを直すなど、確実に使う修繕にお金をかけたほうが良いのではないかとの意見もありました。

‐どうやって合意を取ったのですか?

「耐震工事をすれば資産価値が上がる」ことが、合意形成を取れたポイントでしたね。場所柄、賃貸に出している所有者も多く、オーナーと居住者は違うことも多かったんですよ。耐震工事済で安心して住める部屋は、借り手が付きやすいという事実があることは、合意を取る上でメリットになりました。

こちらのマンションは、意外にもすんなりと合意形成が取れたとのこと!「耐震工事をすれば資産価値が上がる」事実が、合意形成がスムーズに進んだポイントだったんですね!

さて、次回(4/26更新予定)は「納得できる耐震工法の選び方」について。
耐震工事への合意がとれたのに、相談相手が見つからない・・・。
そんな困難を乗り越えた話は必見じゃ!

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